ハンターゲーム




この腕の中に欲しいのは君だけなんだ<3>



なんなんだ、一体!

こっそり、ひっそりハンターたちに見付からないように一人隠れていた所に章三がやって来て。

それでも気心知れた友人同士。たわいも無いことを語り合って。

それなりに楽しい時間を過ごしていたのだけれど。

いつも間にかぼくらの周りには同じくハンターから身を隠すべくやってきたらしいお仲間の姿が

そこかしこに。

しかも、ぼくと章三の様子を盗み見ていたらしくて。

挙句、なんでだか章三を筆頭に皆でぼくのこと、笑ってる?

何で?どうして、こんな雰囲気になったんだろうか。

ま、いいけど。

なんだかよくは解らないけど、なんだか皆楽しそうだし。

釈然としない気持ちはあったけれど、何となくあたたかい雰囲気に包まれてそれはそれで、

まぁ、良いかと思っていたら。

ガサリ

少し先のブッシュが揺れ、ヒョッコリとギイが姿を現した。

気のせいか、目が据わってる気がしなくもない。

ギイ、怒ってる?

でも、なんで?

「葉山、逃げるぞっ!!」

云うなりぼくの手首を掴んで立たせると、勢いつけてぼくを押し出した。

その声が合図になったかのように、そこに居た面々が一斉に逃げ出した。

それを片っ端から無表情に淡々とタッチして捕獲していくギイ。

視界の端でチラッとそれらを見て、慌ててぼくも逃げる。

ぼくの直ぐ後ろには章三。

口では、ぼくを差し出してその間に逃走する、なんて云っていた章三だけど、いざとなると、

ぼくの後ろを守るように走ってくれていた。

地の利というべきか。

この辺りは先にも云った様に、ぼくの方が詳しいことが幸いしてか、何とかその場を切り抜ける事に

成功した。

「はあ、はあ、はあ。何とか、逃げ切った、みたい、だな。大丈夫か?葉山」

荒い呼吸を整えながら章三が訊く。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…だ、だ、いじょぶ、だ、よ」

息も絶え絶えに何とかそれだけ返事をする。

とは云え、足はガクガク・膝も笑っているけれど。

章三はというと、もうすっかり呼吸は整ったらしく

「葉山、前にも云ったと思うが、持久力にも問題があるんじゃないか?に加えて、回復力にも」

全く。何だって、こう章三といいギイといい、特に鍛えてるって訳でも無いのに、どうしてこうも

ぼくと違うんだ。

思わず恨めしげに睨むと

「ははははは、わ、悪い。葉山」

人が睨んでるって云うのに全く意に介していない章三は、おなかを抱えて笑い出した。

目には涙まで浮かべて!

「説得力ないよ。そんな笑いながら謝られても」

ムッとしたのを隠さず云う。

「いや、マジで悪いと…ははは、や、だからさ、ホント悪かったって」

云いながらも、まだ笑ってる。

全く持って失礼な。これが泣く子も黙ると評された元風紀委員長様の姿だって云うんだから

呆れてしまう。

と、そこへ。

遠く離れた繁みの向こうに満面笑顔のギイ再登場。

『ミツケタ、タクミ』

唇がそうかたどったかと思うと、ニヤリと笑う。