Culture-Gap<1>



「な、な、な。ギイは?」

「オレ?ABだけど?」

云った途端、サーッと周囲が引いた、気がした。なんだ?

「そっか、ギイ、AB、なんだ」

互いに目配せをしあいながら、そして、申し合わせたように皆してオレを見る。

なんなんだ、一体?怪訝そうな顔が判ったのだろう。一人が

「じゃあ、やっぱ、ギイって変わり者なんだ」

「は?」

我ながら間の抜けた声が出た。

「や、だって、ABなんだろ?」

なんなんだ、一体。

「それと変わり者と、どういう関係があるんだ?」

因果関係が解らない。

しかも、既に丸1年以上侵食を共に過ごしてきて、今更なんだって改まって・・・。

「お前ら、ギイはアメリカ人だぞ。血液型診断なんて感覚ないって」

「矢倉」

「え?そうなのか?アメリカって、そうなのか?」

診断?血液型で?

「あるんだよ、日本には。そういうのが」

「血液型で性格を、か?」

「そういうこと」

って、

「なんだそれ?」

「だから〜、A型は真面目で几帳面。O型は朗らかでおおらか、とかな」

「で?」

「でって?」

肝心のAB型ってのを敢えて外してるだろう矢倉。あ、B型も、か。

「因みに、僕はそのお褒めに預かったA型だけどな」

と云いつつ章三の顔は”そんなものアテにならないさ”と云っていたが。

「で?」

段々ヨメテはきたが、敢えて訊く。

「で、お前さんのAB型は、変わり者の二重人格、とかな」

「で?」

オレの事はどうでもいい。知りたいのははB型、託生の血液型だ。

「B型は、我儘。唯我独尊、我が道を行く〜♪」

歌うように節をつけて矢倉が云う。隣で託生の血液型を知る章三は”このバカッ”と云う顔を

していたが、時、既に遅しだ。

「随分な云われようだな」

まるで、託生の事を云われた気になり、ムッとする。

「ギイ?」

「根拠もなしに、何だ?そりゃ?まさかと思うが、お前等、ソレ、信じてるのか?」

「お遊びに決まって・・・」

「え〜、だってな〜。マジ、当たってる事多いじゃん」

「そうそう、ほら、赤池のA型なんて、モロその通りって感じじゃんか」

云い掛けた章三の言葉に被せる様に面々が云う。

と、そこへ

「わ、皆ココに居たんだ」

託生が現れた。