遊奏舎 HP
想いをのせて・・・<1>
「あのさ、ギイ」
「ん?」
「そういうの止めて欲しいんだけど」
「なんで?」
「だって・・・恥ずかしい」
「オレは恥ずかしくないけど?」
「ぼくが!恥ずかしいんだってば」
云ってるギイは恥ずかしくなくて、云われてるぼくの方が恥ずかしいって
何だか変だとは思うけど、でも恥ずかしいものは恥ずかしい。
「じゃあ、どうしたら良いんだ?オレは託生を可愛いと思ったから、そう云ってるだけだってのに、
それがダメってことになると・・・正直でいちゃダメだってことか?思ったことを口にしちゃ
ダメだってことか?それとも自分の気持ちに嘘をつけとでも?」
納得いかんと顔に書いてギイが云う。
「そうじゃないけど・・・」
「けど?」
「恥ずかしいものは恥ずかしいんだよ。それに、ぼくは男だよ」
「だから?」
「可愛いなんて云われても、嬉しくないっていうか・・・」
「じゃあ、・・・託生、素敵だ、愛して・・モガガッ」
慌ててギイの口を手で抑えこんだ!何てことを言い出すんだ!この外人は!!!
「だ〜っぐっ。ぐっ・・!!!」
「わっ。ごめん、ギイ。大丈夫?」
「・・・(ゼイゼイ、ハァハァ)お前な、口だけじゃなく、鼻まで塞ぐなよ。マジで、苦しかったぞ」
つい、勢いのまま力任せにギイの口を塞ごうと抑え付けたら、鼻まで一緒に塞いでしまった。
「でも、ギイが悪いんだからな」
「何でだよ」
「あのね、ぼくはギイと違って、こんなどこで誰が聞いてるかも判らないようなところで
そんなこと云われたら恥ずかしいんだってば」
いい加減、解って欲しい。っていうか、解ってるくせに。
「だって、ズルイじゃんか、そんなの」
「ずるい?」
「そう、ズルイ」