遊奏舎 HP



キミだけが、ぼくのトクベツ<Fin>



「あ〜あ。連れてかれちまった」 

「ま、葉山のせいじゃないんだけどな」

「いづれにしても、葉山もこう頻繁に目隠しされたんじゃ気の毒ってもんだしな。せいぜい、

葉山の耳が良いって事を吹聴してやるか」

「そうだよなぁ。急に目隠しばっかで、託生、怖い思いしてたんだよな。ヨシッ!ここは親友の俺が

みんなに云って聞かせてくるか!」

そういうと、岩下と連れ立って元気ハツラツ走り去って行った。

「にしてもな〜、葉山も気の毒にな。それでなくてもアイツ、ヤキモチ妬きだからな〜」

託生がギイに連行されて行った方向を何ともいえない視線で見る。

「まぁ、でも、ギイの気持ちも解るけどね。誰だって、自分の想い人が複数多数にあんなこと

されてたら、面白くはないしな」

「殆どの奴が、目隠しにかこつけて、葉山を必要以上に囲い込むように引き寄せて、

耳元で”だ〜れだ?”って囁いてたって?」

「そ。で、葉山が当てるだろ?と、さも残念な風を装って、葉山の肩口に額を乗っけたりするらしい」

「ガックシ、て?」

「そうそう」

「そりゃ、また・・・奴の神経逆なでしまくりだな」

「だろ?」

「となると、祠堂の平和の為には」

「葉山をギイに差し出すしかないんじゃない?」

「だな。・・・葉山、ガンバッテくれ」

章三と伸之が300(ゼロ)番に向かって祈るような、それでいて生温かい眼差しを

向けていたとか、いなかったとか。


                        …Fin…

・Excuse2→